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はじめに|経営者の「やるべき仕事」とは何か
「何から手をつければいいか分からない」—多くの中小企業経営者が感じているこの悩みは、業務の「見える化」ができていないことに起因します。前回ご紹介した「多忙病」の正体を理解した次のステップは、時間を奪っている業務を洗い出すことです。
今回は、自分の業務を棚卸しし、本当に取り組むべき業務の優先順位を見直すプロセスについて解説します。業務の見える化は、時間創出の第一歩であり、これを徹底することによって初めて、経営者として本来の役割に集中できる環境が整います。
業務棚卸しの基本|可視化と現状把握のススメ
まず必要なのは、現在の業務をすべてリストアップすることです。ここでは、ざっくりとした分類ではなく、「日々のルーティン作業」「突発的な対応」「定例会議」「社外対応」など、業務の“行動単位”で洗い出します。紙のノートでもExcelでも構いません。大切なのは、自分がどんな仕事にどれだけ時間を割いているのかを正確に把握することです。
業務の可視化は、単にリストアップするだけでなく、業務ごとの所要時間、発生頻度、付加価値の有無を合わせて評価することが重要です。これにより「何にどれだけ労力をかけているか」「その労力は成果に結びついているか」が客観的に見えてきます。
【実践ポイント】業務棚卸しのやり方
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1週間分の業務を30分単位で記録する
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業務の目的(価値)と時間をセットで記録する
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繰り返し発生している業務は一括管理
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一人でやるのではなく、信頼できる右腕と一緒に見直す

この作業を行うことで、「こんなことに毎日2時間も使っていたのか」と気づく場面が多々あります。棚卸しを定期的に実施することで、業務の無駄を継続的に削減できるようになります。
【事例】製造業C社のケース
社員15名の製造業C社では、社長が日常的に仕入先への発注、社内備品の手配、出荷伝票の作成までを自ら行っていました。業務棚卸しを行った結果、これらが他の社員でも可能な定型業務であると判明。翌月から業務を分担し、1日あたり約3時間の時間創出に成功しました。

重要度×緊急度マトリクスで仕事を分類する
業務の見える化ができたら、次はそれらの優先順位付けを行います。ここで有効なのが「アイゼンハワー・マトリクス」という考え方です。業務を「重要度」と「緊急度」の2軸で4つに分類し、それぞれの仕事に対する取り組み方を変えることで、効率的な行動が可能になります。


深掘り解説 〜「重要だが緊急でない仕事」に時間を使う〜
この領域は「後回しにされやすいが、最も価値が高い」とされる業務です。たとえば、中長期の経営戦略を考える時間、人材の育成や理念の浸透、業務改善のためのプロジェクトなどが該当します。これらに意識的に時間を割くことで、緊急対応が減り、結果的に忙しさからも解放されるという好循環が生まれます。

「やらないこと」を決める 〜断捨離思考で時間を取り戻す〜
業務改善というと、「新しいことを始める」ことばかり注目されがちですが、むしろ「やめることを決める」方が難しく、かつ重要です。業務の棚卸しで明らかになった非効率な業務は、思い切って捨てるか、他者に任せる必要があります。
【チェックリスト】見直すべき業務の特徴
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明確な成果につながっていない
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自分でなくてもできる
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昔からの慣習で続けているだけ
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毎回ゼロから作業している
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会議のための会議になっている
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毎日定時にやっているが意味を失っているルーティン

断捨離思考を実行するには、「やらないと決める勇気」が必要です。これができるかどうかで、経営者の時間の質が大きく変わります。
【実践例】小売業D社の会議改革
小売業D社では、毎週行っていた1時間の定例会議が「実質、売上報告の読み上げだけ」だったことに気づき、社内共有フォルダでのレポート化に変更。週4時間を削減し、代わりに「問題提起と改善提案の時間」として新たな15分ミーティングを導入。現場スタッフの意欲も向上しました。

業務フローの最適化|工程改善による効率化
単発の業務を見直すだけでは、根本的な改善にはなりません。組織全体の業務フロー(流れ)を見直すことも大切です。たとえば、見積依頼→作成→承認→送付までのプロセスに無駄な重複や確認がないか、情報が紙とデジタルで二重管理になっていないかなど、全体の流れを俯瞰して改善します。
業務フローの見直しは、部門をまたいだ横断的な取り組みが求められます。社内の誰か一人が頑張っても変わらないため、経営者自身が音頭を取って「全体最適」を目指す視点が重要になります。

【事例】サービス業B社での改善事例
飲食チェーンB社では、日報の手書き提出→FAX送信→本部入力というフローを、タブレット入力→自動集計に切り替えたことで、毎日2時間かかっていた業務が30分に短縮。店長が本来すべきマネジメント業務に注力できるようになりました。

【改善ステップ】業務フロー見直しの手順
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各業務の開始から完了までを「見える化」する
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ボトルネック(時間がかかる・属人化している箇所)を特定
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ITツールや自動化できる部分を洗い出す
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実験的に部分導入→効果検証→全社展開へ

まとめ|業務の優先順位を変えると時間は生まれる
業務の棚卸しと優先順位の見直しは、経営者が“考える時間”を取り戻すための大きな一歩です。自分にしかできない仕事と、他の誰かに任せられる仕事を明確に区別することで、日々の行動が大きく変わります。これは単なる業務効率化ではなく、経営の質を高めるための土台づくりでもあります。
最後に、読者の皆様に実践を促す行動提案をまとめます。
【行動プラン】明日から実践できる3つのステップ
明日から実践できる3つのステップ
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1週間分の業務を30分単位で記録し、業務リストを作成
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リストに「重要度」「緊急度」を書き込み、優先順位を分類
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「やらない仕事」「他人に任せられる仕事」を3つ以上見つけて実行
次回は、「任せる力」に焦点を当て、業務の委任と組織体制の最適化について掘り下げていきます。まずは、自分の仕事を“すべて書き出す”ことから始めてみましょう。
業務を見直せば、時間は創れる。その次の一手を一緒に考えませんか?
棚卸しで“やるべき仕事”が見えてきたら、次は“任せる力”が必要です。中小企業の経営支援に特化したコンサルタントが、実行まで伴走いたします。お気軽にご相談ください。